医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


その後、救急はすぐに到着し、私たちは倒れた男性の搬送で一緒に救急車へと乗り込んだ。

駆け付けた救急隊員に天笠先生が容態の説明をすると、うちの病院へと救急要請した隊員は「そちらのドクターと看護師が現場に」と伝え、搬送の許可を取っていた。

通い慣れた職場へと救急車が到着すると、搬送口には脳神経外科の市來先生の姿があった。

天笠先生は患者さんの容態を観察しながらも、救急の到着を待つ間や搬送中に一緒にいたご家族に冷静に問診を取っていた。

患者さんの状態と聞き取った問診から、脳外に回す患者さんだと診断がついたのだろう。


「大事に至らなくてよかった」

「そう、ですね……」


搬送後しばらく病院内で待機をし、患者さんの容態が落ち着いたと知らされてから天笠先生と二人病院をあとにした。

天笠先生の所見通り、男性は脳出血を起こし、食事中に倒れたということだった。

比較的軽いものだとは聞いたけど、天笠先生があの場で的確な判断と応急処置をしたのは大きい。

もし、あの場に先生といなかったら……。

さっきからそんなことで頭がいっぱいだった。

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