医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「さっき……本当はすごく怖くなっちゃって、足とか自然に震えちゃってるし、看護師のくせに、だめだめですよね……」
へへっと笑ってみせても、自虐に自ら追い詰められていく。
視界が必要以上に潤んできたのを感じて、横を歩く先生を見ることはできない。
「普段の仕事でも手際悪くて、先輩にも、患者さんにすら怒られちゃったりするし……なんなんですかね」
昼間、外を歩いていた時には吹いていなかった涼しく強い風が、木々を揺らし街を駆け抜けていく。
照り付けていた太陽は、いつしか厚く暗い雲に覆われ姿を隠していた。
「これでも、志を持って看護師やってるつもりなんですけど……この仕事、私には向いてないのかもしれないです」
だめだ、このままだと泣いてしまいそう。
奥歯を噛み締めて堪えていると、鼻の頭にボタッと大粒の水滴が落ちてきた。