医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛

一粒、また一粒と、地上に降り注ぎ始めた雨粒は、あっという間に街を雨の匂いで包み込む。

降ってきた、と思っているうちに勢いを増し、滝のように打ち付けるゲリラ豪雨となっていた。

天笠先生に背中を押され、小走りで雨から避難する。

公園通りから駅へと向かう道を歩いていたところで、雨宿りできるいい場所がなく、あっという間に全身がしっとりと湿っていく。

地面を跳ね返るほどの強い雨に打たれ、衣服は皮膚に貼り付き始めていた。

もう雨宿りしてもどうにもならないほど無残な状態で、雨の中駆けながら、となりにいる天笠先生を見上げる。


「あのっ、うちそこをすぐ曲がった先なので、タオルお貸しするので」


それだけを伝えて、雨から逃れるように近付いた自宅のアパートの建物に飛び込んだ。