医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


気温が少し下がったのちに降ってきた豪雨で、びっしょりと濡れてしまった全身は夏とはいえ冷えを感じ始めていた。

今年買ったばかりでまだ数回しか持っていないカゴバッグも、この雨で残念な姿に……。

小さくため息を吐きながら、中からキーケースを取り出す。

鍵穴に差し込んだところで、今のこの状況にハッと手が止まってしまった。

私の言葉に天笠先生は付いてきてくれたけど、一人暮らしの部屋に自ら男性を連れて来てしまったことに途端に動揺し始める。

すごい雨で、とにかくなんとかしようと、そこまで深く考えないで行動していた。

だけど、こんな風に簡単に男性を自分の部屋に連れていく女だと思われてしまうだろうか。

実際は、ここに男の人を連れてきてしまったのは初めてなんだけど……。

しかしここまで来て、タオルの一枚も貸さずにお帰りくださいなんて言えず、ドアを開けて「どうぞ」と部屋へと招き入れる。

鼓動が主張していくのを感じながら、玄関に入った天笠先生を横切り先にサンダルを脱いで部屋へと上がった。

< 70 / 130 >

この作品をシェア

pagetop