医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


ビクッとして、傘を掴んだ手が柄を離れる。

何事かと顔を上げたと同時、握られた手首を引かれていた。


「っ……⁉︎」


強引な力で引き寄せられて、足元がよろけたような感じだった。

だけど、そんなことよりも何よりも、近付いた天笠先生との距離に息が止まりかける。

目前には雨に濡れたVネックのTシャツ。

背中と腰に手が回っていて、気のせいではなく先生の腕の中に収まっていた。

突然の急接近にドッドッと心臓が強い音を立てて鳴り始める。

戸惑いが胸に広がっていき、身動き一つ取れなくなった。


「さっき、言ってたこと」


頭上から天笠先生の静かな声が降ってきて、高鳴る鼓動がビクッと震え上がった。


「患者に寄り添える君を見ていて、俺は白雪ちゃんが看護師の仕事が向いてないなんて思わない」

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