医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
まずい、あからさまに隠れてしまった。
そんな後悔に自然と顔が熱くなる。
しばらく手元に散乱した色画用紙の切り抜きをじっと見つめてから、そろりと顔を上げてみると、廊下にあった天笠先生の姿はなくなっていた。
「ハァ……」
天笠先生とお休みの日に出掛けてから早一週間。
それなのに、あの日のことを思い返しては、こうやって一人そわそわしてしまう。
先生と共に仕事中はなるべく無心の境地でいるように心掛け、平静を保つ努力をするくらいだ。
私はこんな状態だけど、一方の天笠先生はあの日以前と全く変わらない様子で、なんら変化は見られない。
あまりに普通すぎて、あの日の出来事は私の仕上がりすぎた妄想だったのだろうかと疑ってしまうほどだ。
だけど、そんなはずはない。
抱き寄せられた腕の感覚も、触れるだけだった温かい唇の感触も、あのあとしばらく残って離れなかった。