医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛
「あのっ、今週末の夏祭りの日は、まだうちにいますよね?」
「ああ……土曜日、だよな? その翌日にご両親とあっちに向かうことになっているから、大丈夫だと思うが」
「そうですか、よかった」
私のホッとした声を受け、天笠先生は「心配はそこなのか」と微笑を浮かべる。
「だって、航くん、楽しみにしてくれてるから、せめてって……」
私たちがコソコソ準備をしているのを、よく見に来ていた航くん。
退屈な入院生活の中で、きっと楽しみにしてくれていたに違いない。
だから、せめて夏祭りには参加していってほしいという思いが私にはあった。
「向こうでオペを終えて経過をみて、落ち着いたらこっちにまた転院という形をご家族は希望されている」
「そうですか……」
そんな会話を交わしながら病室へと向かう。
中を覗くといるはずの時間に航くんがベッドに不在で、思わずキョロキョロとしてしまっていた。