私の失恋の行き着く先は…No.5
プロローグ


『待っててとは言わない』

別れ際、最後の言葉がそれだった。

そう言い残して、後ろを振り返ることもせず、旅立っていった。

私はぼんやりと彼の背中を眺めていた。

空港内の喧騒は、なにひとつ耳に入ってこない。

周りの景色はモノクロ。

身体に気をつけて、とか。

電話するね、とか。

メールするね、とか。

なにも言えなかった。

『さよなら』という言葉さえ。



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