私の失恋の行き着く先は…No.5
どうすることも出来ない。
私の頭の中には陽亮さんの言葉が染み付いている。
『待っててとは言わない』
あの時、私の恋は終わりを告げたのだから。
まだ、私が陽亮さんを好きでも。
忘れられずにいようとも。
もう、どうすることも出来ない。
「冴子にピッタリだと思うんだけど」
蓉子さんは事あるごとに、こうして話を進めてこようとする。
おそらく29歳という妙齢で、浮いた噂ひとつない私を気遣ってくれているのだと思う。
私が約6年、陽亮さんと付き合っていたことは、蓉子さんにも話していないから。
「なに言っちゃってるんですか~。この前は企画部の誰それさんがお似合いだとか、その前は広報部でしたっけ?」