私の失恋の行き着く先は…No.5


私はあれから何度、空を見上げて陽亮さんを思い出していたのだろうか。

どんなに遠く離れていても、空は続いているから。

陽亮さんも同じ空を見ていてくれたら嬉しいな、とか。

出発の日に見上げた雲ひとつない青空とか。

それをしなくなったのは、あの頃からだろうか。

彼が海外転勤になって少し経ってから。

噂好きな人ってどこにでもいるワケで。

しかも、聞きたくない内容が耳に入ってくるワケで。

社員食堂はいつも賑わっていて、他人の会話が気になるようなことはこれまでなかった。

私は私で、総務部の同僚と話していたし。

それなのに、神様のイタズラなのか、厄日だったのか。

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