私の失恋の行き着く先は…No.5
エピローグ
タクシーに乗せられて連れて来られた所は、会社近くの高級ホテル。
逃げようにも、腕を捕まれて離れられない。
上階にあるフレンチレストランの個室の窓の外には、キラキラと輝く夜景が広がっている。
「今日冴子は直帰だと聞いたから、駅まで迎えに行った」
「どうして…」
掠れた声が震える。
「日本に戻ったら冴子に会おうと決めていた」
真剣な顔で真っ直ぐ見つめられる。
「でも、1年前…」
それ以上は言葉が続かなかった。
俯いて唇をギュッと噛み締めた。
「海外転勤は最低でも2年。待っててほしいと思う反面、冴子を縛ることになると思った。だから、あんなこと言った。言って後悔した。冴子に辛い思い、苦しい思いをたくさんさせてしまった。今さら勝手なことを言ってるのはわかってる。でも、どうしても冴子に伝えたかった。もう後悔したくなかったから」