私の失恋の行き着く先は…No.5
目の前の美人はゲラゲラ笑っている。
どんな表情も魅了する、私の尊敬する先輩だ。
「春の異動の手続きも無事終わりましたし、総務部はようやくデスマーチを抜け出せそうです」
私が所属する総務部の仕事は多岐に渡り、特に春は部内が殺伐とするほど毎日忙しい。
ようやく平和な日々が訪れようとしていた。
「あぁ、そっか。まだオフレコだから冴子も知らないのね」
「何をですか?」
「アメリカに行ってる営業部の青山課長、もうすぐこっちに戻って来るのよ」
「えっ!?へぇ~…」
驚きのあまり、身体がピクンと跳ねた。
なんとか平常心を保ち、当たり障りのない返事をする。
「まだ内緒ね!」
「蓉子さん、オフレコの話なんてしないでくださいよ。扱いに困ります」