セカンド・ファミリー(新バージョン)

「大丈夫。もう大丈夫。
ここには、あなたを脅かすものは、何も無いわ。
だから、安心していいのよ」

あやすように背中を擦りながら
優しい口調で言ってくれた。

「……。」

すると嘘のように震えが静まった。
不思議と……。

どうしてお母さんの事が浮かんだのだろうか?

知らず知らずの内に
お母さんと奥さんを重ねていたのだろうか?

有りえる……。

お母さんにして欲しかった事を
奥さんがしてくれた。
我が子のように優しくしてくれる。

だから余計にお母さんと比較して
比べてしまうのだ。
そして重ねる事で実感したいのだろう。

愛されていたと思いたくて……。

これも、後遺症かしら?
だとしたら虚しいだけなのに。

いくら重ねたところで奥さんは、
お母さんではない。赤の他人。

いくら重ねても代わりにしたらダメなのに。
分かっているはずなのに……。

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