セカンド・ファミリー(新バージョン)

とにかく高校に行けという話は、
施設や学校にも散々と言われた。

編入をしたいと言っても
それは、逃げる事だと言われて私の話を
まともに聞いてくれなかったし。

「でも……前にその事を言ったら
それは、逃げる事だからダメだって
立ち向かえと言われて……」

すると奥さんが

「そうかしら?私は……そうは、思わないわ。
確かに何でも逃げちゃうのは、良くないけど
自分を壊してまでやったら本末転倒。
自分を大切にするためにも道を変えるのも
選択肢として大事だと思うの」

「私は、あなたの行きやすいやり方で
いいと思うわ。それは、逃げることではない。
言いにくかったらお母さんからも
言ってあげるから。考えてみたらどうかしら?」

優しくそう言ってくれた。

「は……はい。」

編入は、逃げることではない。

どうしたらいいか分からずに
真っ暗になっていた道にようやく
少しだけ光が差したように感じた。

嬉しい……。

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