【短】いわゆる1つの愛というもの
そして…。
時は過ぎ、何度目かの同窓会を経て。
私は和登に思い切って、想いを告げた。
あの時の自分に、ケジメをつけるために…。
「ね、今だから言うけど……私。あの時…ね?和登のこと好きだったんだよ?」
少し酔ったフリをして。
でも、真剣な瞳のままで。
和登は、それを真っ直ぐに受け止めて微笑む。
「うん。知ってた」
意外な言葉に声が詰まった。
「え…?」
「けど、言わないでくれて嬉しかった…あの時言われてたら…今も郁乃とこうして飲みに行ったり出来なかったと思うから…」
ぽんぽん
頭を撫でてそう語るのは、あの日の和登そのモノで…。
ポロポロ溢れる涙が止められなかった。
「和登…」
「郁乃のこと、本気で大切な友達だって、親友だって…そう、思ってる。だから…色々ありがとうな」
そんな風に思ってくれてるだなんて思わなかった。
「…うん…ありがと……」
返したい言葉はそれだけじゃなかったけれど、それ以上言えなくて。
あぁ、私は本当にこの人が好きなんだなって。
私はこの人に、恋をしてよかったんだなって。
初めて思うことができました。
それが、長い月日を掛けて知ることが出来た、私の中の答え。
私の初恋。
あなたなしでは生きてゆけない。
今もそれは変わらない。
だけれど、それは恋人とかそういう意味ではなくて…。
親友として、心友として…。
私の初めての恋。
それは、切なくてほろ苦くて。
破滅的な思考を持っていたけれど。
最後には納得の出来る…。
いわゆる一つの愛というものとなりました。