ダメ。俺のそばにいて。
軽やかな曲調になんだか私の足取りまで軽くなってしまいそうだ。
流れるように進む旋律。素人の私でもわかるくらいプロ並みの腕前。
…誰が弾いているんだろう。
お昼休みは始まったばかりだし、音楽部の自主練にしては大会が近いわけでもないし…。
音楽なんて去年少し触れただけでなにも知識なんてないけれど。
それでも、こんな素敵な曲を弾く人はどんな人なのか見てみたい。
なんて気持ちのまま、音楽室の横引きの扉に手をかける。
だけど、そこで一瞬躊躇した。