ダメ。俺のそばにいて。
不満気な顔をしてみたけど、当の本人はなんだかご機嫌だ。
教卓から出た久遠くんが、私の頭に手を置いてポンポンと撫でる。
「星玲奈、いい匂いだった。」
「も、もう恥ずかしいからやめて…!」
さっきから、なんなの!?
ていうかいい匂いだったの久遠くんの方ですからね!?って私変態みたいじゃん!
私が悶えているのなんて無視して、久遠くんは伸びをした。
ほ、ほんと自由ですね…?
「はぁー…、俺、鬼ごっこ昔から好きじゃなかったんだけどな。」
一気に脱力した久遠くんが、嫌そうに漏らす。
「なんで女子に追われてたの?」
「クラスで働かされてたんだけど、一瞬だけ休みがあって、その隙に逃げたんだよね。」
いや、それは追いかけられるな!?そりゃそうだよ!?
全力で突っ込もうとしたけど、欠伸しながら机に座られるからなんだか喉に留めてしまう。