ダメ。俺のそばにいて。
「じゃあ、俺と回ろうよ。」
「え?」
素っ頓狂な声を出した私を見て、また愉快そうに口が弧を描く。
「だから、俺と回ろうよ。」
「いや、でも久遠くん、クラス…あるでしょ?それに、久遠くんと回りたい子他にもいっぱいいると思うけど…。」
「いいよ、俺が星玲奈と回りたいから。…ダメ?」
顔を覗き込まれて、透き通る目が私を捕まえて離さない。
ずるいよね…本当に、久遠くんって…。
「ダメじゃ…ない…。」
それに素直に応じちゃう、私も私だけど。
子供がはしゃぐみたいな笑顔を浮かべた久遠くんを横目に食べかけのポテトを頬張る。
口に含んだ塩気がほんの少しだけ甘味を増した気がした。