ダメ。俺のそばにいて。
私とは関わることがないと思っていた人が、…今、目の前にいる。
まさか…さっきの曲を弾いていたのも久遠くんだったり…する?
「あ、あのっ!」
「ねぇ。」
あああ!どうしよう!
久遠くんが声を出したのと、私が問おうとしたタイミングが被ってしまった。
久遠くんは、自分の声がかき消されたのが少し不満なのかまた眉間に皺を寄せる。
「ねぇ、飲み物売ってる場所、混んでる?」
「え…?」
思いがけない質問に戸惑う。
飲み物売ってる場所って自販機…がある、コモンスペースのこと?
「えっと…お昼休みだから、人はたくさんいるだろうけど。」
自販機とか購買とかがあるコモンスペースは、お昼休みなんて生徒のたまり場!ってくらい混んでるはず…。
私の答えに、久遠くんはグレーの瞳を伏せた。