ダメ。俺のそばにいて。
…じゃあ、他の人は久遠くんがあんなに素敵な曲を弾くって、知らないのかな。
そう思うと少しだけ胸が弾む。
別に、特に意味も理由もないけど…、このまま秘密にしておきたい、なんて。
「でもうちの学年って久遠くんといい、イケメンが2人もいて、もうほんと幸せ!目の保養!!」
「でも2人とも真音の恋愛対象外なんでしょ?」
「そうだけど、恋の相手と目の保養は違うの!確かに私は年上専門だけど、蒼くんなんて同じクラスだし。最高かよ!」
そういうものなのかな?
確かに私のクラスには、久遠くんと女子人気を2分している男子がいる。
難波 蒼(なんば あおい)。
スッとした鼻筋に切れ長な目。
真っ黒な丸いフォルムの髪の毛は、常に左耳にかけていて。
さしずめ久遠くんを洋のプリンスとするならば、難波くんは和の若様って見た目。
だけど、少しだけキズなのは…、
「ほんっとう、年上じゃなくても難波蒼がプレイボーイじゃなきゃ惚れてたかもしれない!顔はもろタイプだけどチャラ男はダメなの!でもかっこいいから普通にファンだよね!」
「あはは…、まあちょっと…、いやかなり女子慣れしてるよね…。」
自他共に認めるプレイボーイってところかな。