ダメ。俺のそばにいて。








「お弁当持った、教科書持った。…よし。」




玄関の全身鏡を覗いて、軽く前髪を整える。




寝癖もないし、今日はいい感じにまとまった!




リボンの傾きを直してから、リビングのお母さんに向かって呼びかけた。




「お母さん、行ってきまーす。」



「行ってらっしゃーい。」




ぴょこっと顔を出して答えてくれたお母さんに口角を上げて、小さく手を振る。




有村 星玲奈(ありむら せれな)。高校2年生。




ミディアムボブの黒髪は自分でもちょっと気に入っていて、164cmの身長は少し高い気もするけれど満足はいっている。




だからといって、自分に自信があるかと言えば別の話。





それは、小さい頃から最強の幼なじみと一緒に育ったせいかも。





ドアの取っ手を押して開くと、朝の明るい光が差し込んでくる。





朝は得意だから、こういう光はなんだか好き。




そう思いながら一歩足を踏み出すと、くりくりの瞳が私を見た。







< 2 / 175 >

この作品をシェア

pagetop