ダメ。俺のそばにいて。
■piu mosso
「茉優」
「あれ、今日もどこか行くの?」
次の日のお昼休みに名前を呼ぶと、疑問を浮かべられる。
今日は真音に頼まれたわけじゃないのに、目的は5階にあった。
昨日はミネラルウォーターを買ったのはいいけれど、久遠くんは既に寝ていて。
そこにペットボトルを置いて退散しちゃったんだよね。
…だけどなんだか気になって、今日ももしかしたらあそこに、なんて、かすかな期待。
「うん…、茉優はどうする?」
「大丈夫だよ、茉優は誰かと食べるから!」
快く送り出してくれる茉優にホッとする。
まあ、久遠くんが音楽室にいるなんて保証はないんだけど。
「ん?星玲奈がミネラルウォーター買うなんて珍しいね?」
「あー、うん、ちょっと欲しいのが売り切れで。」
苦し紛れの嘘。
嘘つくの下手だってよく言われるんだけど、上手く誤魔化せてるのかな…。
茉優にはバレてるかもなあ…。