ダメ。俺のそばにいて。
私の嘘がわかっているのかわかっていないのか、茉優はニッと笑って「いってらっしゃい」と言ってくれた。
それに頷いて、教室を出る。
左手には口もつけていないミネラルウォーター。
昔からのお節介癖!と思うけど、さっき自販機の前を通ったからつい買っちゃった。
我にかえると、会える確証もないのになにやってるんだろう、私…。
久遠くんが女子から猛烈にモテていることは予想内だったけど、女の子から追い回されていることは昨日、真音から聞いた。
『まあ、あんな存在、女子が放っとくわけないよね。珍獣ハンターが天職ですか?って思うほど追い回してるよ。』
『そ、それは精神的に?物理的に?』
『どっちも。でも、久遠くん中々喋ってくれないらしくて。なんなら女子嫌いなんじゃないかってほど。』
もしその通りなら私が行くのも迷惑なのかな。
でも、昨日会った時はそんな冷たい印象じゃなかった…、はず。
いや…、私の自惚れだったりして…。