ダメ。俺のそばにいて。
「星玲奈、おはよっ。」
「茉優、おはよう。」
ニコッと笑った笑顔が惚れ惚れするくらい綺麗で、なんだか引け目さえも感じる。
あぁ、今日も最高に可愛い。
相原 茉優(あいはら まゆ)。
サラサラの黒髪は、低めのツインテールにまとめられている。
カラコンを疑われるくらい、くりっとした大きな瞳。
可憐な鼻に、形の良い唇からは八重歯がチラッと覗く。
それでいて、守りたい衝動に駆られる華奢な体。
この子が、非の打ち所がない見た目を兼ね備えた私の幼なじみ。
完璧に整えたはずの私のリボンが、少しくたっとなった気がした。
…私が、いくら完璧に整えたところで茉優には一切敵わない。
ていうか、もうそんなこと、とうの昔に諦めた。
知ってる知ってる把握済み。
戦う前から戦意喪失です。
「茉優、今日はちゃんとお弁当持ってきた?」
「失礼だな〜、茉優はそんなに忘れっぽくないよ。」
「だって昨日忘れたばっかりじゃん。」
「茉優が忘れっぽいんじゃなくて、星玲奈がしっかりしすぎてるのが悪いのっ。でも、星玲奈が同じクラスで良かったなあ。」