ダメ。俺のそばにいて。
「あのね、夏休みの課題を美術室に出さなきゃいけなくて!でも!違う先生に呼び出されてて別件で職員室に早急に行かなきゃいけないの!!」
まさかの私の返事も聞かず話し始めた真音。
いつのまにか私の人権は消えました?
私了承していないんですが…!
「ていうか夏休み明けて1ヶ月以上経ってない?」
「だから永遠に夏休みが終われてないの!私だけ!」
…聞きようによれば、幸せな状況にも聞こえるからいいってことにしない?
眉を下げた真音にそういう瞳を向けたら『そうじゃない!』と目で訴え返された。
「課題っていってもね、美術室に絵を出しにいくだけなんだけど…、星玲奈ちゃん頼まれてくれないかなぁって…!」
真音のうるうるした目を、じとーっとした目で見つめ返す。
まあ、でも、確かに忙しそうなのは見て伝わるし…。
そんなに大変な任務でもないし、真音には色々助けてもらってるもんね。
「もう、わかったよ、仕方ないなあ。」
「ありがと、星玲奈大好き!!」
本当、調子いいんだから…!
私の気持ちが顔に出たのか、テヘッと舌を出す。
もう…茉優といい、真音といい自分の可愛さを武器にしすぎ。
とりあえず一言断っておこうと顔を上げると、全部聞いていたらしい茉優が指でオッケーマークを作る。
それを確認してから、真音の課題である絵を持って教室を出た。