God bless you!~第8話「リコーダーと、その1万円」・・・予算委員会
「ぎ、議長?」
「ぎ、議長?」
「そだね♪」
あの日。
静まりかえった4月の生徒会室。
3役が任命。出揃った生徒会室。
俺だけが立場を見つけられないまま、ただただ、狼狽していた生徒会室。
そこで右川新会長から俺に遣わされた役割は……〝議長〟。
右川新会長は、ド真ん中の椅子でふんぞり返る。
阿木から何やら説明されている途中で、「えええ~!?」と不満の声を上げた。
「会長が議長を兼任?うっそ。やりたくねー。つーか、何か変じゃね?」
「そうね。他の学校では、委員会ごとに議長を出してるって聞くけど」
「そんないちいち選ぶなんてムダな事しなくても……そうだ!」
新会長は、何やら閃いたご様子。嫌な予感はもうそこら中に蔓延している。
「あんたが議長やればいいじゃん。誰よりも生徒会分かってんだしさ」
俺が?
議長?
この1年ずっと?
それはつまり、俺は生徒会の一員ということでいいのか。怖くて聞けない。
「そういうのってダメなの?」
アギング?チャラ枝さん?のぞみちゃん?と、右から順に確認が進んだ。
最初は俺に同情的だった浅枝・阿木が、そして吉森先生までもが、よく聞いたらそれって都合良いわよね、と……目が泳ぎ始める。
「わかってると思うけど、会長と議長じゃ格が全然違うんだから。ここでは立場をわきまえろってばよ」
ふてぶてしい新会長であった。
桂木が、「右川、ちょっとヒドくない?沢村を便利使いするって聞こえるよ」
「便利だもん。便利に使うサ。だってそういう約束だもんね~」
みのりん♪
右川を便利に使ったつもりが、結果として弱みを握られている桂木は徐々にトーンダウンした。1度握られると引き返せない。俺が経験的に知っている。
右川に物を頼むという事はつまり、パンドラの箱。桂木はそれと引き換えに生徒会の書記の座を手に入れた。見返りがあるだけいい。
俺の見返りは……議長か。
受験生を何だと思っているのか。
「あんたは選挙に落ちたの。落ちた落ちた落ちた♪どこの世界に落ちぶれたヤツを拾ってくれる親切な3次元ワールドがあるっていうの?感謝しろぉ。せーぜー働けぇ」