この恋。危険です。

それなのに。

「上原さんすみません。回診のことで聞きたいことがあるのですが」

竹中先生に呼ばれる。
日勤リーダーだし、回診のことで呼ばれるなら仕方ないかもしれないけれど…

正直なところ、関わりたくない。
さっさと答えて終わらせてしまおう。

「なんでしょうか。」
「''ゆかり''」

え?!

思わず反応してしまう。
「やっぱり。」
彼が笑う。

まずい。ばれた?
「誰のことですか?人違いかと思いますが。」
平静を装うけれど。
「誤魔化しても無駄だよ。」
自信満々に告げられる。

完全にばれてる。なんで、どうして?!

「よろしくね。上原友里さん。」

ひいっ。
'よろしく'のところが無駄に強調されている。

呆然とする私を置いて、彼は去っていった。
聞きたいことがあるというのはウソだったらしい。
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