この恋。危険です。

ピロン、ピロン。
アラームが鳴る。
はっとして見ると、夕方オペから帰って来た患者さんのモニターの血圧が異常値を示している。
72/31
明らかに低い。
急いで、患者さんの部屋へ向かう。

血圧を再測定し、患者に声をかける。
「田中さん。田中さん。」
反応は薄い。
ドレーンからは血性の廃液がかなりの量引けてきている。
1回目の巡回のときは、こんなことはなかった。
再測定した血圧は66/28
まずい。どんどん下がってる。

落ち着け。私。

緊急用のボタンを押す。
「緊急コール。東外科病棟713。緊急コール。東外科病棟713。
緊急コール。東外科病棟713。」

これで、人は集まる。
今、私にできること。

メインの点滴を全開で落とす。
声をかけながら、処置ができるよう布団を外し、柵をおろす。

「なにがあった?!」
真っ先に飛び込んできたのは竹中先生だった。
「血圧66/28。輸液全開で落としてます。ドレーンからは血性の廃液。」

「救急カート持ってきました!!」
「点滴準備して!!生食でいい!!」
「はい。私やります。」
「手術室連絡!!!」
「わかりました。私します。」
「家族にも連絡して!!」
「はい。私します。」
説明している間に、どんどん人が集まってくる。
指示が飛び交う。

「手術室OKです!!」
「行くぞ。」

緊急コールから、10分足らずで患者さんは手術室へ運ばれていった。
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