この恋。危険です。
竹中先生と私。
ナースステーションで、それぞれ自分の仕事をしているけれど。何とも言えない雰囲気が私たちを包む。
気まずいような、くすぐったいような。
「あの、さ。」
竹中先生が遠慮がちに声をかけてくる。彼がこういうのは珍しい。
「なんですか?」
「今度、2人でご飯行こうよ。」
へ?
ゴハンイコウ?
とても、彼の口から出た言葉とは思えない。
「もう、先生。なんの冗談ですか?」
「本気だよ。」
彼の目は真剣で。
なんで?どうして?!
「ほんとは、Canonで会ったときに誘おうと思ってたんだ。でも、病院で会って以来Canonでは1度も会ってない。Canonで会うの避けてるだろう。」
確かに避けてるけれど。
「あれは、知らない人だったから良かったんです。竹中先生とわかってて会うなんて気まずいじゃないですか。」
竹中先生は、ドクターで、既婚者で。そんな人と2人で飲む勇気は私にはない。
「俺は会いたい。だから、今誘ってる。」
「お断りします。」
「なんで。」
「他の女性なんて、誘ってたら先生の大切な人が悲しみますよ。」
そういうと、彼が困ったように笑う。
「聞いてたの?俺の大切な人は君なんだけど。」
ぽかんとする、私。
今、この人なんて言った?
大切な人が、私?
既婚者のくせに何言ってるの?!
「まぁ、いいや。本気で落とすから。覚悟してね?」
唖然とする私に、彼は爆弾を落としていった…