この恋。危険です。
揺れる気持ち

彼の背中を見送りながら『やっぱり、好きだなぁ…』と思う。

頭ぽんぽんも、名前呼びも、嬉しい。
そう思う私は、完全に彼に落ちてしまっている。

だから、ますます意識させられる。ますます惹かれていく。
勘違いだと思えない程に。なかったことにできない程に。

ドクターなんて、絶対嫌だと思ってた。
既婚者なんて、あり得ないと思ってた。

きっと、強引に誘われてたら、こんな気持ちにはならなかったと思う。
ガードを固くして『お断りします』で済んだはず。彼も、他のドクターと一緒なんだって軽く軽蔑して終わりにできたのに。

ダメだとわかっているけれど、彼に近づきたいと思う自分がいる。
愛しい相手に彼はどんな風に接するんだろう。
どんな笑顔をむけるんだろう。

浮気や不倫相手にはなりたくない。

でも………


「友里、まだ残ってたの?!」
突然かけられた声に驚く。
見ると、今日夜勤の同期だった。
「あー。うん。薬のこと調べてて。」
そういうと、呆れたような目をしてくる。
「友里が真面目なのはいいとこだけど、無理しないで早く帰りなよ。明日日勤でしょ?」
「そうする。おつかれ。」
「おつかれー。」

荷物を持って、更衣室へ向かった。
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