ラフレシアが蝶に恋をした。
「おはよう、お母さん」
「あら、美々、早いのね」
一階のリビングに降りると、お母さんが慌ただしく朝食の準備をしていた。

「なんだか眠れなくって」
「そうよね。大丈夫? 今日は、一人で行ける?」
「うん」

昨日は嬉しそうに見えたお母さんも、やはりひどく私のことを心配しているようだった。私は、朝食をとりながら正面に座るお母さんの不安げな表情をじっと見ていた。

お母さんにいじめのことは話したときは、「美々はかわいいのにね」と言うだけで、私が見た目で悩んでいることには納得してくれなかった。

それでも、私が苦しんでいたことは、よく知っている。お母さんの前でいっぱい泣いたし、病院にも通った。それだけに、同じことが繰り返されるのが、私と同じように心配なんだろう。


「いってきます」

高校をやめて3か月ぶりの9月2日、私はようやく「登校」する。止まっていた時が、再び動き出したような気がした。
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