さよなら、大好きな人
故郷でもこれほどの花畑を見たことがない。

しばらくの間見惚れてしまったものの、はっと意識を戻すと仕事に取りかかることにした。


これほど見事な花を育て上げたのだろうアンナさんは、優しい人なのだろうなと思う。

優しい人が育てれば、それに応えて花も綺麗に咲いてくれるものだと思っているから。



籠の中に言われた通りに花の種類や色を出来るだけ多く選びながら入れていく。

充分だろうと思う位の花を摘むと、籠を抱えてゆっくりと立ち上がった。


もう一度、とても綺麗な光景を目に焼き付けてから来た道を戻り、仕事の完了を伝えるために花屋へと戻っていく。




「アンナさん」


「あ、ティナちゃん‼おかえりなさい」


「あの、これで大丈夫ですか?」



変わらずに店の中にいたアンナさんに声を掛けると、振り返ったアンナさんは微笑みながら当たり前のように告げる。

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