さよなら、大好きな人
確認するようにそう問い掛けると、ラウルは当たり前だと言わんばかりに即答する。

私は迷いが晴れたようにそっとラウルを見上げた。



どこか不安げな表情をしているラウルを見て、そのまま背伸びをして頬に触れるだけの口付けをする。



「……ラウルとずっとここに居るよ。ここで、幸せに、なろう?」

「ティナっ……」



口付けをした後、私はそっと微笑みながら首を傾げてそう告げると、ラウルは感極まったようにぎゅっと強く私を抱き締める。


それは痛いほどであったが今だけは何も言わずにいようと思って、私は大人しくその腕の中にいることにした。



――幸せだと、心から思えたから。



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