さよなら、大好きな人
アンナさんの言葉にどこか照れたような笑みを浮かべながら、抱えていた籠を差しだす。


差しだされた籠を受け取ったアンナさんは花を取り出しながら順々に見て行くと、満足そうな笑みを浮かべてこくりと頷いた。



「ええ、大丈夫よ。ありがとう」


「いえ、仕事ですし……」


「ふふ、そうね。
そういえば、ティナちゃんはすぐに旅に行ってしまうの?」



ほっと安堵の表情を浮かべた私を見ながら、気になっていたのか問い掛けるアンナさん。



「そのつもりだったんですけど……。
結婚式、見てみたいなって少し思ったんですが、何日も宿に泊まれるお金はありませんし」



問われたことに関して少しだけ考える仕草を見せながらも、思っていたことを口にした後に僅かに苦笑を浮かべた。



これからの旅のことを考えれば結婚式までいれるようなお金は到底残ってはいない。

諦めるしかないか、と僅かに残念そうに息を吐く。

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