さよなら、大好きな人
「昨日、花を摘んできて貰った道の途中にある家だから多分迷わずに着けると思うわ。お願いね」



はい、と渡されたのは白と青の花を基調とした小さな花束と届け先までの道が書かれたメモ。

アンナさんが微笑みながら言うと、私はこくりと頷いてゆっくりと歩き出す。



確かにメモに書かれている場所は昨日の道の途中にある家のようで、ここまでならば多分大丈夫だろうと思える。



――それにしても、配達するための花束はどこか物悲しい感じの色合いだ。

綺麗と言えば綺麗なのだが、誰かのプレゼントというには少々合わないような気がしないでもない。



どんな人がこの花束を頼んだのだろう、と思いながらメモの通り歩いていた私が着いたのは一軒の小さな家だった。


3、4人の家族であったら丁度良いだろう、そんなこじんまりしたどこにでもありそうな家。



私は何気なく見上げてから、はっとしたように慌ててドアをコンコンと音を立ててノックをする。

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