さよなら、大好きな人



次の日も、変わらず私はアンナさんの店の手伝いをしていた。

それ以外にすることがないと言うのが本音だし、仕事なのだからサボれないというのも本音。


旅の資金はあり過ぎても困るかもしれないが、無さ過ぎるのは困る以前の問題だからだ。



もちろんアンナさんのことは優しい人だと思うし、ずっと気に掛けてくれているのもわかっているから出来るだけ力になりたいとも思っている。


とは言っても花屋で働くのが初心者である自分は、役に立ちたいと思ってもその思い通りには中々身体が動いてくれないのが事実だった。



自分の情けなさに私は溜息を吐きながら、店の奥の方で頼まれていた作業をようやく終えた時。

店の方からアンナさんの声が聞こえた。



「あら……、ラウルくん」


「こんにちは、アンナさん」


「こんにちは。珍しいわね、ラウルくんが店の方まで来てくれるなんて」


「ええ、ちょっと……。ティナ、居ますか?」

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