さよなら、大好きな人
頼まれた仕事は何とか終えてはいるが、店が閉まる時間ではないのは確かだ。

それに、これから仕事が増える可能性だって大いにあり得る。


だからと言ってここまで来てくれたラウルを追い返すのも出来なかったために、助けを求めるようにアンナさんへと視線を向けた訳だ。



視線を向けられたアンナさんはラウルの方を見て、ふむ、と考えるような仕草をした後、ふと微笑みを浮かべながら頷いた。



「じゃあ、ティナちゃんには花畑の水やりをお願いしようかしら。もう少しで行こうと思ってたの、水やりが終わったら今日はもう自由にして?」


「え!?で、でも」


「いいのよ。この街に来たばかりでティナちゃん慣れてないだろうし、良く働いてくれてるし、ね?」


「は、はぁ……」



告げられた言葉に私は驚いたような声を上げると、アンナさんは、ふふ、と柔らかく微笑みながら説得するように言葉を紡ぐ。

私は納得出来なかったが小さく頷いた。

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