さよなら、大好きな人
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ラウル side
花畑までの道の途中でティナと俺が話したのは旅の話ではあるが、本当に他愛のない話ばかりだった。
どんな感じの街だったのか、とか。どんな村があったのか、とか。そこに暮らしていた人達の生活は場所で変わっていたのか、とか。
ティナの話を楽しそうに聞きながら、俺は時折気になったことを質問して。
そんな風にしていたらあっと言う間に花畑へと着き、ティナはきょろきょろと辺りを見回す。
広い花畑なので水やりをするのも一苦労をしそうだと思いながら、近くに水場があって、水を入れて撒くらしい道具もそこにあったのでほっと安堵の息を漏らしつつ、そちらへと近寄っていく。
その様子を眺めながら俺は仕事の邪魔にならない程度の場所へと下がり、草むらの上に座りながらぼんやりとティナが仕事している姿を眺めていた。
……そう言えば。
――彼女はどうして、旅をしているんだろう。