さよなら、大好きな人
故郷を出てからどれだけの時間が過ぎただろう。一応一言告げてきてはいるけれど、両親は心配しているかもしれない。
まだ、若いと言われる年齢の自分が一人旅をしているのだから。
――そんな事を思いながら私、ティナは歩んでいた足を止めてゆっくりと目の前に広がる大きな街を視界に入れた。
故郷を出てから色々な街を転々としてきたけれど、ここまで大きな街は初めてで。
そのために呆然とその大きさをただただ驚いてしまった。
もちろんこういう街があるということは知ってはいたし、どんな感じなのかも聞いたことはある。
でも話で聞くのと実際に見るのでは、全然違って私は僅かに目を伏せた。
ふとした時に蘇る声が、ある。
聞きたくないと思っているのに、無情にも記憶を何度も何度も呼び起こしてしまう、声。
「……さて、と‼適当にバイト、探してお金溜めなきゃ」