さよなら、大好きな人
――ごめん。

――……ごめんな、ティナ。


謝らないで。そんな悲しそうな顔で、苦しそうな顔で謝らないで。



私はそのままの状態で顔を隠すように俯き、そのままぼろぼろと涙を零す。


突然のことで何が起こっているかわからないであろうラウルは、放って置くことは出来なかったのか、私へと近寄るとそっと肩に触れた。



「……ティナ?」


「忘れる、から。絶対に、忘れて、みせるから……だから、だから、もう……」

「ティナ‼」



肩に触れた手にびくりと怖がるように身体を震わせれば、私は他に何も聞きたくないとばかりに震える声で言葉を紡いた。

そんな私をラウルはそっと後ろから強く抱き締める。



抱き締められた私は一瞬意味がわからずにいたが、ようやく落ち着いて涙で濡れている顔でそっと見上げた。



「ラ、ウル?」


「……うん、俺だよ」


「ご、ごめん、ね。泣いちゃったりして、驚いたよね」

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