さよなら、大好きな人
大好きって言って。抱き締めてくれて。キスしたりして。ただ、それだけで良かった。

いつか、ずっと一緒に居られる日が来るって思ってたから。



「永遠を、願った人だったの。
……でも、あの日だけは違った。帰ってきて、いつものように私の所へ来たあの人の顔はとても辛そうに歪んでいた」



初めてだった。
どうしてそんな表情をするのかわからなくて、どうしたのって聞いたんだ。



「そしたら、ね。……ごめんって謝られた。他に、愛する人が出来たから、私とはもう一緒に居られないって。……何度も、何度も、ごめん、って」



とても悲しそうに。とても辛そうに。とても、苦しそうに。

どうやれば私が傷付かないのか考えながら必死に言葉を選びながら、何度も何度も、ごめんって。



「……だからね、忘れるって、約束、したの。大好きな人だから、忘れるって。……全部、忘れる、って……」

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