さよなら、大好きな人
一つ一つ言葉を選びながら言うラウルの真剣な様子に躊躇いながらも、こくりと小さく頷いて了承をする。


ほっと安堵した表情を浮かべたラウルは、先程私が落とした道具を元の場所に戻しながら気遣うように私へと視線を向けた。



「大丈夫?……歩ける?」


「あ……、うん、大丈夫。その、ラウルの家に行ったら冷やすものを貸してくれると、嬉しいかな。このまま戻ったらアンナさんが心配するだろうし」


「ああ、そうだね。構わないよ」



確認するように聞くラウルに、私は慌てて頷いて腫れている瞼を思い出しおずおずと言い難そうに伝える。

ラウルは気付いたように微笑みながら頷くと、ゆっくりと歩き出した。



頷いてくれたラウルに対して感謝の言葉を述べてから、歩き出したラウルの後を追うように歩き出す。

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