さよなら、大好きな人
そのまま、腫れたままの瞼を冷やすようにタオルを当てるとそっと目を閉じた。それと同時に、ラウルが私の隣へと腰を下ろす。



「そう言えば、私に話したいことって?」


「え?ああ……、うん。ティナの過去だけ聞いて俺が話さないのもどうかと思って。
……この家、広いと思ったでしょう?」



私は冷やしながらも本題に入ろうと思って問い掛けると、ラウルは話そうと思った理由を簡単にだけ告げて、まずはとばかりに聞いてきた。



「ラウル一人で住むには大きいかな?とは思ったけど」


「元々、二人で住んでたんだ。……弟と、ね」


「弟さんが居るの?」



聞かれたことに素直に返す私の当たり前の反応にラウルは頷きつつも、説明するように話だす。

少々予想外だったことに思わず聞き返してしまった。



「正確には居た。……数年前に死んでしまって、ね」


「……」



聞き返した内容にゆっくりと話始めたラウル。無神経なことを問い掛けたと、私は思わず口を閉じた。


今は目を開けられない状態なので、ラウルがどんな表情をしているかがわからない。それだけが不安だった。

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