さよなら、大好きな人
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俺は伏せていた目を、天井へと向けた。
「両親は小さい頃に亡くなってね、それからはずっと弟と二人、支え合いながら生きてきた」
たった二人、血の繋がった兄弟として。両親のことは恨んではいない。
もっと一緒に居たかったっていう気持ちはあったけど、仕方ないということもわかってる。
それに一人じゃないだけで、随分と心が軽かったような気がした。
「……優しい子でね。いつだって俺のことを気遣っていたし、自分のことは二の次のような子だった。だから、かな?好かれることも多かったけど、嫌われることも多かったみたい」
優し過ぎる子だったのかもしれない。
他人の痛みすらも感じ取ってしまい、全部抱え込んでしまうような、そんな子。
他の人の目から見ればあの子の姿は、人の捉え方によって違うように見えたに違いない。だから、好かれることも多い反面、やっぱり気に食わない人も多かった。