さよなら、大好きな人
その花屋の店先にあった看板に貼られていた一つの張り紙。

――花を摘んできてくれる人を募集――


そこに書いてあった仕事の内容や報酬の金額を見て、これなら自分でも出来るかな、と思い花屋へと近付いていく。

店の中には店員だろう一人の女性が居て、少し大きめの声で呼びかけた。



「あのー」


「はい?……あら、見慣れない子ね。観光?」



私の声が聞こえたのか店の中から女性が出て来て、私の姿を見ると微笑みながら首を傾げ問い掛ける。



「あ……い、いえ、旅をしていて」


「そうなの。見る感じ、一人旅なのね」



問い掛けに慌てたように答える私に、変わらない感じに対応してくれる女性。



「は、はい。それでその、そこに貼ってある張り紙を見たんですが」


「あら、手伝ってくれるの?助かるわ。
もう少しで結婚式があってね、その為の練習をしていたら花の数が少ないことに気付いたの。店を長い間開ける訳にもいかないし……、あなたが手伝ってくれるなら助かるわ」

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