さよなら、大好きな人
だが、それすらも気にならないほどに儚い雰囲気というか、纏っている雰囲気は柔らかそうで、女の自分から見ても可愛いと素直に思えるような少女であった。



あの子が式を挙げるのであればとても綺麗な花嫁さんになるんだろうな、と私は知らず知らずに笑みを零す。



「相手の方はまだ、来てないのかな?」



視線をあちこちに向けるもののそれらしき人物が見当たらなかったのか、少々残念そうに呟きを漏らすラウルに、私は肯定するように頷きかけた時。



「みたい……あっ‼あの人じゃない?ほら、こっちに向かって歩い……っ!?」

「ああ、確かに……。
……?ティナ?」



人影が見えたので、手を繋いでいない方の手で指差しながら教えるように告げるが。

ふと、ゆっくりと近寄ってきてだんだんとどんな人物なのかわかると、私は驚きで瞳を見開かせ言葉を失った。

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