さよなら、大好きな人
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指差された方向を見て、見て取れた青年に頷く。
不自然なところで言葉が途切れたティナを不思議に思い、名前を呼んだ。
だけれど、名前を呼ばれても反応せずに身体を震わせて繋いでいた手を離し、そのまま隠れるように俺の背に回るとぎゅっと服を握るティナ。
いきなりであったためにわからず、もう一度名前を呼ぼうと口を開いた時だった。
それよりも先に別の人の声が辺りに響く。
「ミア。……もしかして、遅れたか?」
「あ……いいえ、大丈夫ですよ、ロイ。私が早くに来すぎてしまっただけですから」
「……全く。式が近いんだから、体調を崩すなよ」
「わかっていますよ」
俺は聞こえてきた会話のする方へと視線を向ければ、仲良さげに話している二人の姿を見えた。
ロイと呼ばれた青年は既に待っていた相手――ミアと呼んだ少女の元へと駆け寄りながら、少々申し訳なさそうな表情を浮かべている。