さよなら、大好きな人
ミアはふるふると首を横に振りながら嬉しそうに微笑むと、ロイは仕方ないな、とばかりに微笑み返しながら手を伸ばして彼女の頭を撫でている。


仲は良好のようだ。アンナさんの話通りに確かに恋愛結婚らしい。



とは言っても貴族のお嬢様と旅人が結婚など色々な問題があってもおかしくはないが、今の二人を見る限りはそれも乗り越えた後なのだろう。



納得したように頷きつつも身体を震わせて自分の背に隠れてしまったティナへと視線を向ける。

彼女がいきなりどうして隠れてしまったのかがわからずに首を傾げた。



「ティナ?どうかしたの?」


「……あ、の」



出来るだけ優しい声で名前を呼べば、ティナは理由を説明しようと口を開くものの上手く言葉が紡げないようだ。



「……?」


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