さよなら、大好きな人
「――ティナ、だって……?」

「え?」



言えるようになるまで待とうと決めた時だった。

おもわぬ所から別の声がティナの名を呼び、俺は驚いて声が聞こえた方へと目を向けた。



名前を呼ばれたティナは、今までで一番びくり、と身体を震わせる。

すると、ただ縋るように俺の服を握りながらその声に返すように名前を呼び返した。



「ロ、イ」


掠れる声で名前を呼んだ相手は、そう、今さっき式の主役として着いたばかりの貴族のお嬢様ミアの相手――ロイの名だった。



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