さよなら、大好きな人
結婚式場でもある教会へと辿り着くと、きょろきょろと辺りを見回す。
そう言えば関係者の顔を知らないと今更ながらに気付いた。
アンナさんにその辺りを聞いてくればよかったと思いながら、ブーケを手に持ったまま立ち往生していた私に気付いて声を掛ける人がいた。
「あの?」
「きゃっ……‼あ……」
「ご、ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったんですけど……」
「こ、こっちこそ、ごめんなさい。え、っとミア、さん?」
声を掛けられて驚いた声を上げて慌てて振り返れば、申し訳なさそうな表情を浮かべているミアさんの姿がそこにはあった。
まだ着替えてはおらず、多分これから着替えるのだろうと思いながらあの日以来であるので気まずい空気が流れる。
だが、このままで居る訳にもいかず、私は手に持っていたブーケをミアさんへと差しだした。